食虫植物の種類一覧|初心者でも育てやすいおすすめ5選

食虫植物の種類を並べたイメージ
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「食虫植物を部屋に置いてみたいけれど、種類が多くてどれを選べばいいのかわからない」。そんな迷いを抱えていませんか。ハエトリソウやウツボカズラの名前は知っていても、育てやすさまで比べるのは意外とむずかしいものです。

デスクワーク中心の毎日だと、日中は部屋にいられず、日当たりにも限りがあります。せっかく迎えるなら、自分の部屋で元気に育つ1種を選びたいですよね。

この記事では、代表的な食虫植物の種類を一覧表にまとめ、虫をとらえるしくみや寒さへの強さ、室内で育てやすいかどうかで比べます。初心者向けのおすすめ5選に加え、室内での置き場所や腰水、冬の休眠期の管理、テラリウムに向く種類も紹介します。表で比べるだけなので、専門的な知識がなくても読み進められます。読み終えるころには、あなたの部屋に合う1鉢がはっきり決まっているはずです。


目次

食虫植物とは?虫をとらえる理由と4つの捕獲方式

食虫植物とは、葉を変化させたわなで虫をとらえ、栄養の一部にする植物の総称です。世界では数百種が知られており、日本の湿原にも自生しています。

やせた湿地で生きるために虫をとらえる

食虫植物の多くは、湿原や水辺など栄養の少ない土地に暮らしています。土から窒素などの養分を十分に吸えないため、虫から補う方向へ進化してきました。

とはいえ、育つためのエネルギーは葉の光合成でつくっています。この点はふつうの植物と変わりません。虫を与えなくても、光と水がそろえば育つと覚えておくと、育て方の考え方がすっと入ってきます。

捕獲方式は大きく4つに分かれる

虫をとらえるしくみは、わなの形によって次の4つに分けられます。

捕獲方式 しくみ 代表的な種類
粘着式 葉の表面のねばる液で虫をくっつける モウセンゴケ、ムシトリスミレ
挟み込み式 二枚貝のような葉をすばやく閉じて閉じ込める ハエトリソウ、ムジナモ
落とし穴式 筒や袋の形をした葉に虫を落とし、中の液で消化する ウツボカズラ、サラセニア
吸い込み式 捕虫嚢(ほちゅうのう)という小さな袋で、水ごと虫を吸い込む タヌキモ、ウサギゴケ

挟み込み式は、本や図鑑によっては「わな式」「閉じ込め式」と呼ばれることもあります。動きを見て楽しみたいなら挟み込み式、形のふしぎさを眺めたいなら落とし穴式と、わなの種類から好みを絞るのもひとつの方法です。

ここからは、代表的な種類を一覧で比べていきます。


食虫植物の種類一覧|捕獲方式・耐寒性・室内向き度で比較

園芸店や通販で出会いやすい食虫植物を、育てる目線で比べました。室内向き度と入手しやすさは、◎・○・△・×の4段階で示しています。

種類 捕獲方式 耐寒性 冬の休眠 室内向き度 入手しやすさ
モウセンゴケ類 粘着式 種類による 日本産の種類はする ○ ◎
ムシトリスミレ(メキシコ産) 粘着式 やや弱い 冬は乾燥に耐える葉で休む ◎ ○
ハエトリソウ 挟み込み式 比較的強い する △ ◎
ムジナモ 挟み込み式 冬は殖芽で越す する × △
ウツボカズラ 落とし穴式 弱い しない ◎ ◎
サラセニア 落とし穴式 強い する × ○
ウサギゴケ(タヌキモの仲間) 吸い込み式 やや弱い しない(冬は生育がゆるやか) ○ ○

耐寒性はあくまで目安です。同じ種類でも品種や株の状態で差があり、地域や置き場所によって冬越しの条件は前後します。

一覧から見える「温帯性」と「熱帯性」の2グループ

表を見比べると、食虫植物は大きく2つのグループに分かれます。

  • 温帯性:ハエトリソウ、サラセニア、日本産のモウセンゴケなど。冬は寒さに当てて休ませます
  • 熱帯性:ウツボカズラ、アフリカナガバモウセンゴケ、メキシコ産のムシトリスミレなど。冬は暖かい室内で守ります

一年中部屋の中で育てたいなら、熱帯性のグループから選ぶと失敗が減ります。温帯性の種類を暖かい部屋に置きっぱなしにすると、休眠できずに少しずつ弱ってしまうからです。

ムジナモとタヌキモは水の中で暮らす

ムジナモは根をもたず、水面近くを漂って暮らす珍しい食虫植物です。国内の自生地はほとんど失われ、環境省のレッドリストで絶滅危惧IA類に指定されています。栽培には水質を整える手間がかかるため、はじめての1種には向きません。

タヌキモの仲間は、水中の捕虫嚢で小さな生き物を吸い込みます。仲間のウサギゴケは湿った土で育つ種類で、白い花がウサギの顔のように見えることから人気を集めています。


初心者でも育てやすい食虫植物おすすめ5選

一覧のなかから、手に入りやすく、育て方のコツがつかみやすい5種を選びました。部屋の環境と照らし合わせながら読んでみてください。

1. モウセンゴケ|粘液の粒がきらめく入門種

葉にびっしり生えた腺毛(せんもう)という細い毛から、露のような粘液を出して虫をとらえます。光が足りていると粘液がよく出て、葉もきれいに色づきます。

はじめてなら、アフリカナガバモウセンゴケかコモウセンゴケが丈夫で扱いやすいでしょう。アフリカナガバモウセンゴケの苗のように、園芸店の通販でも手に入りやすい種類です。受け皿に水を張る腰水で育て、室内では植物育成ライトを組み合わせると元気に育ちます。

2. ハエトリソウ|葉を閉じる動きを楽しめる

二枚貝のような葉の内側には、感覚毛という短い毛が生えています。虫が短い間に2回ほど感覚毛にふれると、葉がぱたんと閉じるしくみです。

ただし、葉は閉じるたびに体力を使います。面白がって何度もさわると、その葉は黒く枯れてしまいます。日光を強く好み、冬は寒さに当てて休眠させる必要があるため、ベランダなど屋外で育てるのが基本です。

3. ウツボカズラ|室内の窓辺でいちばん育てやすい

つるの先に下がる袋(捕虫袋)が特徴の熱帯植物です。袋の中にたまった液に虫が落ちると、ゆっくり消化されます。

強い直射日光は葉焼けのもとになるため、レースカーテン越しの窓辺がちょうどよい明るさです。ホームセンターなどで売られている交配種は丈夫で、室内向きの1種として選びやすいでしょう。袋がつかないときは、光か湿度の不足を疑ってみてください。

4. サラセニア|屋外ならもっとも丈夫

地面からまっすぐ立ち上がる、筒状の葉が目を引く種類です。赤や黄緑の模様が入る品種も多く、並べると見ごたえがあります。

寒さに強く、日当たりのよい屋外なら手間はほとんどかかりません。そのぶん強い日光が欠かせないため、室内のデスクでは光が足りずにひょろひょろと伸びてしまいます。ベランダがある方に向く1種です。

5. ムシトリスミレ|明るい窓辺のデスク向き

スミレに似たかわいい花を咲かせる、粘着式の食虫植物です。葉の表面がしっとりとねばり、コバエなどの小さな虫をくっつけます。

園芸店で見かけるのは、メキシコ産の種類が中心です。株が小さくデスクに置きやすく、明るい窓辺か育成ライトがあれば室内で育てられます。冬は葉の姿が変わり、乾かし気味に管理する点だけ覚えておきましょう。

部屋の環境から選ぶ早見表

迷ったときは、部屋の条件から逆算すると1種に絞りやすくなります。

部屋の環境・希望 おすすめの種類
日当たりのよいベランダがある サラセニア、ハエトリソウ
レースカーテン越しの明るい窓辺がある ウツボカズラ、ムシトリスミレ
窓から遠いデスクで育てたい モウセンゴケ、ムシトリスミレ(育成ライトを併用)
テラリウムで楽しみたい モウセンゴケ、ウサギゴケ
虫をとらえる動きを見たい ハエトリソウ

室内で食虫植物を育てる共通ポイント

種類は違っても、育て方の考え方には共通点があります。光、水、用土、冬越しの4つを押さえておけば、大きな失敗は防げます。

置き場所は光を最優先に考える

食虫植物の多くは、見た目以上にたくさんの光を必要とします。窓から1〜2m離れるだけで、植物が受け取る光はぐっと弱くなります。

日中に部屋を空けることが多い方には、タイマー付きの植物育成ライトが便利です。毎日同じ時間だけ光を当てられるので、平日の不在も気になりません。エアコンの風が直接当たる場所は、葉が乾いて粘液や袋がつきにくくなるため避けてください。

室内での光や湿度の考え方は、苔の管理とよく似ています。苔を室内で育てる方法|枯らさない置き場所と容器の選び方も参考になります。

水やりは腰水が基本。ただし例外もある

湿地生まれの種類は、腰水(こしみず)で育てるのが基本です。腰水とは、水を張った受け皿に鉢を浸けて、鉢底から水を吸わせる方法を指します。水位は鉢の高さの3分の1くらいが目安です。

種類 水やりの方法
モウセンゴケ、ハエトリソウ、サラセニア、ウサギゴケ 腰水を常用し、受け皿の水を切らさない
ウツボカズラ 腰水はせず、表土が乾きかけたら上から与える
ムシトリスミレ(メキシコ産) 春〜秋は湿らせ気味、冬は乾かし気味

ウツボカズラを腰水で育てると、根が傷んでしまうことがあります。種類ごとの違いだけは取り違えないようにしましょう。腰水のやり方そのものは、盆栽の腰水(こしみず)とは?やり方と向く樹種・注意点を解説で詳しく解説しています。

使う水は、雨水や精製水が理想です。水道水で育てる場合は、受け皿の水を継ぎ足すだけにせず、ときどき全部捨てて入れ替えてください。

用土は肥料分のないものを選ぶ

ふつうの草花用培養土には肥料が入っているため、食虫植物には使えません。肥料分は根を傷める原因になります。

よく使われるのは、水苔の単用か、無調整のピートモスに鹿沼土などを混ぜた土です。食虫植物専用の配合土を選ぶと手軽でしょう。栽培用の高品質ミズゴケのように、園芸用として売られているものを使うと扱いやすくなります。水苔の扱い方は水苔の戻し方と使い方|盆栽・苔玉・テラリウムでの活用法を見ておくと安心です。

肥料はもちろん、ハムやひき肉などの食べ物も与えないでください。消化しきれずに腐り、葉ごと傷んでしまいます。

冬の休眠期は2つのグループで管理を分ける

冬越しは、温帯性か熱帯性かでまったく変わります。ここを間違えると、冬のあいだに株を弱らせてしまいます。

グループ 主な種類 冬の置き場所 水やり
温帯性 ハエトリソウ、サラセニア、日本産モウセンゴケ 屋外の軒下など、寒さに当たる場所 腰水の水位を下げ、乾かさない
熱帯性 ウツボカズラ、アフリカナガバモウセンゴケ、ムシトリスミレ 室内の明るい場所 種類ごとの方法を続ける

温帯性の種類は、地上部が枯れたように見えても休眠しているだけです。受け皿の水が凍る日だけ、無加温の玄関などへ移すとよいでしょう。

熱帯性の種類は、冷え込む前に室内へ取り込みます。ウツボカズラは、目安として10℃前後を下回らない場所で管理すると安心です。品種によって寒さへの強さが違うため、購入時の説明もあわせて確認しておきましょう。夜の窓際は思った以上に冷えるので、冬だけ部屋の内側へ寄せてください。


テラリウムで育てやすい食虫植物

ガラス容器の中で育てると、湿度が保たれて粘液や袋がつきやすくなります。苔テラリウムに慣れた方なら、次の一歩として取り入れやすい楽しみ方です。

テラリウム向きの種類と不向きな種類

テラリウムに向くのは、株が小さく、湿度を好む種類です。

区分 種類 理由
向く モウセンゴケ、ウサギゴケ 小型で湿度を好み、容器に収まりやすい
条件つきで可 ムシトリスミレ、小型のウツボカズラ 蒸れに注意し、大きめで口の広い容器を使う
向かない ハエトリソウ、サラセニア 強い日光と冬の寒さが必要で、容器内では休眠できない

ハエトリソウはテラリウムの写真でよく見かけますが、長く育てるには屋外のほうが向いています。容器の中で楽しむなら、モウセンゴケとウサギゴケから始めてみましょう。テラリウムに合う植物全般は、テラリウムにおすすめの植物|初心者でも育てやすい種類と選び方でも紹介しています。

容器はフタを少し開けた半開放型に

フタを閉めきった容器は、光が当たると内部が高温になり、株が蒸れてしまいます。フタを少しずらすか、口の広い容器を選ぶと失敗が減ります。フタ付きのガラステラリウム容器は、フタの開け具合を調整しやすく扱いやすいでしょう。容器選びに迷ったらテラリウムキットの選び方|初心者におすすめのタイプと失敗しないコツも参考にしてください。

地面には生きた水苔を敷くのがおすすめです。湿原でも一緒に生えている組み合わせで、緑の水苔に赤いモウセンゴケが映えます。ハイゴケのように成長の速い苔は株を覆うことがあるため、株元から少し離して植えてください。

苔テラリウムの日々の管理は、苔テラリウムの育て方|枯らさない水やりと管理のコツを初心者向けに解説が参考になります。水槽で作る本格的なレイアウトに興味があれば、コケリウムとは?苔テラリウムとの違いと始め方を初心者向けに解説もあわせてご覧ください。


まとめ|食虫植物の一覧から自分に合う1種を見つけよう

食虫植物は、しくみを知ると管理の理由が見えてくる植物です。最後にポイントを振り返っておきましょう。

  • 食虫植物は、栄養の少ない湿地で虫から養分を補う植物
  • 捕獲方式は粘着式・挟み込み式・落とし穴式・吸い込み式の4つ
  • 初心者向けは、モウセンゴケ、ハエトリソウ、ウツボカズラ、サラセニア、ムシトリスミレの5種
  • 室内のデスクなら、ウツボカズラ、ムシトリスミレ、育成ライトを使ったモウセンゴケが候補
  • 水やりは腰水が基本。ウツボカズラだけは表土が乾きかけたら上から
  • 冬越しは、温帯性は寒さに当てて休眠、熱帯性は室内で保温
  • 肥料や人の食べ物は不要

まずは部屋の光の条件を確かめ、早見表から1種を選んでみてください。葉に光る粘液の粒や、少しずつふくらむ袋を毎日のぞく時間は、仕事の合間のちょっとした楽しみになります。ぜひ、あなたのデスクにも小さな湿原の住人を迎えてみませんか?

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この記事を書いた人

盆栽・庭木・観葉植物の育て方や選び方を発信する「sabi-green.」の編集チームです。専門書や生産者・園芸店の情報、専門サイトの情報などをもとに、初心者が疑問に思いやすいポイントを整理してお届けしています。

「盆栽は難しそう」「すぐ枯らしてしまう」という悩みを自分自身も経験してきたからこそ、専門書的な正しさよりも、初心者が実際につまずくポイントに寄り添った情報をお届けしたいと考えています。

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