プテリスの育て方|枯れる原因と茶色くなった葉の対処法

プテリス(シダ植物)の葉の様子
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雑貨店や園芸店で、細い葉が涼しげなシダを見かけたことはありませんか。その植物がプテリスです。テラリウムに入れたくて手に取ったものの、葉先がチリチリと茶色くなり、慌てて調べている方もいるでしょう。

シダは湿気が好きと聞いて水をたっぷり与えたのに、かえって弱らせてしまうこともあります。デスクで育つのか、苔と一緒にガラス容器へ入れても平気なのか、迷うところも多いはずです。

プテリスは本来、丈夫で室内でも育てやすいシダです。つまずく原因はおもに、水切れと蒸れ、そして直射日光の3つにあります。

この記事では、代表的な品種の比較から、水やりと置き場所の基本、テラリウムでのレイアウト例までをわかりやすく解説します。葉が茶色くなったときの原因の見分け方と、季節ごとの管理もまとめました。読み終えるころには、茶色い葉を見つけても慌てずに株を立て直せるようになっているはずです。


目次

プテリスとは?テラリウムに映える細葉のシダ

プテリスは、イノモトソウ科イノモトソウ属に分類されるシダの仲間です。学名のPteris(プテリス)が、そのまま園芸での呼び名になっています。熱帯から温帯まで広く分布し、日本でも石垣や林のふちで自生種を見かけます。

園芸店では、テーブルに置ける小さなシダという意味で「テーブルファン」の名前で並ぶこともあります。細長い葉が株元から放射状に広がる姿は、ガラス容器に入れると一気に森の雰囲気を生みます。

育てる前に知っておきたい性質は、次の4つです。

  • 直射日光が苦手で、明るい日陰を好む
  • 乾燥に弱く、水切れすると葉がすぐに傷む
  • 寒さには比較的強く、室内なら冬越ししやすい
  • 成長が早く、株元から次々と新しい葉を出す

花も実もつけず、葉の形と色だけで魅せる植物です。そのぶん、置き場所と水の加減がそのまま葉の見た目にあらわれます。

代表的な品種の比較表

プテリスには多くの種類があり、緑一色の葉から白い斑(ふ)入り、赤みを帯びる品種までそろっています。斑とは、葉に入る白や黄色の模様のことです。店頭で見かけやすいものを比べました。

品種・流通名 学名 葉の特徴 育てやすさ テラリウム向き
オオバノイノモトソウ系(テーブルファン) Pteris cretica 細長い緑の葉が放射状に広がる やさしい ○(小株なら)
アルボリネアタ P. cretica ‘Albolineata’ 葉の中央に白い筋が入る やさしい ○
エバージェミエンシス P. ensiformis ‘Evergemiensis’ 細い葉に銀白色の斑が入る ふつう ○
ウィムセッティー P. cretica ‘Wimsettii’ 葉先が細かく裂け、ふんわりした印象 やさしい ○
トリカラー P. tricolor(分類未確定。流通名は「トリカラー」) 新しい葉が赤みを帯びる やや難しい ○
イノモトソウ P. multifida 日本に自生する。細く裂けた葉 やさしい △(大きくなりやすい)

流通名は店によって表記がばらつくため、ラベルに書かれた学名もあわせて確かめておくと安心です。

はじめての1株なら、緑葉のクレティカ系か、白い筋が上品なアルボリネアタが育てやすいでしょう。斑入り種やトリカラーは見た目が華やかなぶん、寒さにやや弱い傾向があります。冬の室温が下がりやすい部屋なら、緑葉の品種から始めると失敗が減ります。

実際に手に入れる場合は、まず1株で育て方を試すか、複数の品種を見比べたいかで選ぶとよいでしょう。


プテリスの育て方の基本|置き場所・水やり・湿度

プテリスを元気に育てるコツは、明るい日陰に置き、土を乾かしきらないことです。基本の目安を表にまとめました。

項目 目安 ポイント
光 レースカーテン越しの明るい日陰 直射日光は葉焼けのもと
温度 おおむね15〜25℃で育ちやすい 冬は5℃以上、斑入り種は10℃前後を保つと安心
湿度 50%以上あるとよい 乾燥する季節は葉水で補う
水やり 土の表面が乾きかけたら 水切れさせない。受け皿の水は捨てる
肥料 春〜秋に薄い液体肥料 冬は与えない
植え替え 1〜2年に1回、春 根詰まりしたら一回り大きな鉢へ

温度はあくまで目安です。品種や住まいの環境によって前後します。

置き場所は直射日光の当たらない明るい日陰

プテリスの葉は薄く、直射日光に当たると数日で白っぽく焼けてしまいます。南向きの窓辺に直接置くのは避けましょう。

向いているのは、北向きの窓辺や、明るい窓から1〜2mほど離れた棚です。暗すぎると茎がひょろりと伸び、斑入り種は模様がぼやけてきます。窓から遠いデスクで育てるなら、小型の植物育成ライトを足すと葉の色が安定します。光の少ない部屋での植物選びは日当たりの悪い部屋でも育つ観葉植物は?選び方とおすすめの種類でも紹介しています。

エアコンや暖房の風が直接当たる場所もやめておきましょう。乾いた風は、葉先を傷める大きな原因の一つです。

水やりは「乾ききる前」が合図

プテリスは、土がカラカラに乾くのを嫌います。土の表面が乾きかけたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えてください。指で土に触れ、表面がさらっとしてきたら水やりのタイミングです。

一方で、受け皿に水をためたままにすると根が息苦しくなります。水やりのあとは、受け皿の水を必ず捨てましょう。湿り気は好きでも、水びたしは苦手という性質を覚えておけば迷いません。

春から夏は乾きが早く、小さな鉢だと毎日の確認が欠かせない時期もあります。季節ごとの頻度の考え方は観葉植物の水やりの頻度は?季節で変わる目安を解説にまとめています。

湿度は葉水で補う

空気が乾く季節は、霧吹きで葉に水をかける葉水(はみず)を取り入れましょう。朝のうちに葉の表と裏へ軽く吹きかけ、夜までに乾くようにするのがコツです。

暖房を使う冬の部屋は、湿度が30%台まで下がることも珍しくありません。加湿器を近くに置くか、水を張ったトレーに小石を敷き、その上に鉢をのせる方法も手軽です。

肥料と植え替え

肥料は控えめで十分です。春から秋の生育期に、観葉植物用の液体肥料を薄めて月1〜2回ほど与えます。濃さは製品ごとに違うため、ラベルの規定倍率に従ってください。

植え替えは1〜2年に1回、気温が安定する春から初夏に行います。時期は地域によって前後します。鉢底から根がはみ出していたら根詰まりのサインです。用土は、水はけと水もちのバランスがよい虫がわきにくい観葉植物用の無機質用土で問題ありません。植え替えの際は、鉢底石と鉢底ネットのセットをあらかじめ用意しておくと、水はけの調整がスムーズです。大きくなった株は、植え替えのついでに手で株を分けて増やせます。


テラリウムと鉢植えで変わるプテリスの育て方

プテリスは、ガラス容器の中でも、ふつうの鉢でも育ちます。ただし管理の勘どころは大きく変わります。

比較項目 テラリウム 鉢植え
湿度 高い湿度を保ちやすい 葉水や加湿器で補う必要がある
水やりの頻度 少ない。ガラスのくもり具合で判断 土の表面が乾きかけたら
蒸れ・カビ 起きやすい。換気が欠かせない 起きにくい
夏の高温 容器の中に熱がこもる 熱が逃げやすい
株の大きさ 小株を選び、古い葉を間引いて保つ 大きく育てて存在感を楽しめる

乾燥しがちな部屋で葉先の傷みに悩んでいるなら、テラリウムに移すと葉がきれいにそろうことがあります。反対に、のびのび大きく育てたいなら鉢植えが向いています。

テラリウムで育てるときのコツ

テラリウムに入れるなら、2〜3号ほどのポットで売られている小さな苗を選びましょう。プテリスは成長が早く、大きな株を入れるとすぐ容器いっぱいに葉が広がります。

ふたつきの容器は湿度を保てる反面、空気がこもりがちです。ふたを少しずらす、1日に数分開けるなどして、空気を入れ替えましょう。ガラスの内側が一日中くもって水滴が垂れているなら、水分が多すぎます。

葉がガラスに触れたままだと、その部分から傷みやすくなります。外側に広がった古い葉は根元から切り、株の形を整えましょう。用土は、根が張れるよう3〜5cmほどの深さを確保すると安定します。容器選びに迷ったら、丸型のガラス容器のようにシンプルな形のものを選ぶと、葉の線がすっきり映えます。

植え付けの手順は観葉植物のテラリウムの作り方|初心者でも育てやすい種類と手順を解説で詳しく紹介しています。

テラリウムのレイアウト例|単体と苔・流木の組み合わせ

プテリスの見せ方は、大きく2つに分かれます。

レイアウト 容器の目安 組み合わせる素材 向いている人
単体で見せる 背の高いボトルやジャー 化粧砂、少量の苔 葉の線の美しさを楽しみたい人
苔・流木と組む 横長の水槽や広口の容器 ヒノキゴケ、ホソバオキナゴケ、流木 小さな森の景色をつくりたい人

単体で見せるなら、細長いボトルの中央にプテリスを1株だけ植えます。足もとを化粧砂や少しの苔で覆うと、すっと伸びる葉の線が引き立ちます。斑入りのアルボリネアタは、シンプルな構成ほど模様が映えます。

苔・流木と組むなら、高さのあるプテリスを奥に置き、手前に向かって低くなるように配置しましょう。流木を斜めに渡し、その足もとにヒノキゴケやホソバオキナゴケを敷きます。奥が高く手前が低い三角形の構図にすると、奥行きのある景色にまとまります。

苔もプテリスも湿度を好むため、同じ容器でも水の好みがぶつかりません。流木は、カビを防ぐために煮沸やあく抜きを済ませてから入れると安心です。構図の考え方は苔テラリウムのレイアウト|おしゃれに見せる3つの構図と作り方、合わせる植物の選び方はテラリウムにおすすめの植物|初心者でも育てやすい種類と選び方が参考になります。

鉢植えで育てるときのコツ

鉢植えでは、乾燥をどう防ぐかが勝負どころです。素焼き鉢は乾きが早いため、プラスチック鉢や釉薬(ゆうやく)のかかった陶器鉢が扱いやすいでしょう。

鉢植えのプテリスは草丈が30cm前後まで育つこともあり、テラリウムとは違うボリュームを楽しめます。株が大きくなるほど水を吸う量も増えるため、水やりの間隔はこまめに見直してください。


プテリスが枯れる原因と茶色くなった葉の対処法

プテリスの葉が茶色くなる原因で目立つのは、水切れと空気の乾燥です。次いで、直射日光による葉焼けと、水のやりすぎによる根腐れが続きます。症状ごとに整理しました。

症状 考えられる原因 対処法
葉先だけが茶色くチリチリになる 空気の乾燥、エアコンの風 葉水を増やし、風の当たらない場所へ
葉全体がしおれて茶色く乾く 水切れ 鉢ごと水に浸して吸水させる
葉が白っぽく抜け、茶色く焼ける 直射日光による葉焼け 明るい日陰へ移す
土が湿っているのにしおれる 根腐れ、根詰まり 根の状態を確かめ、植え替える
株元が黒くなる、白いカビが出る テラリウム内の蒸れ 換気を増やし、傷んだ葉を取り除く
冬に葉が黒っぽく傷む 寒さ 夜は窓辺から部屋の内側へ移す
下葉が数枚だけ茶色くなる 古い葉の入れ替わり 新しい葉が出ていれば心配いらない

葉先だけが茶色くなるのは空気の乾燥

葉の先端から少しずつ茶色くなるなら、空気の乾燥を疑いましょう。とくにエアコンの風が当たる場所や、暖房で乾いた冬の部屋で起こりがちです。

置き場所を風の来ない位置へ移し、葉水の回数を増やしてください。茶色くなった葉先は元に戻りませんが、ハサミで茶色い部分だけ切り落とせば見た目は整います。葉先の傷みの見分け方は観葉植物の葉先が茶色くなる原因は?見分け方と対処法を解説でも詳しく解説しています。

葉全体がしおれたら水切れを疑う

葉がぐったりと垂れ、触るとパリッとしているなら水切れです。土が乾ききると、水をかけても表面を流れるだけでしみ込まないことがあります。

そんなときは、水を張ったバケツに鉢ごと沈めましょう。土から泡が出なくなるまで浸せば、鉢全体に水が行き渡ります。しおれた葉が戻らなくても、根が生きていれば株元から新しい葉が出てきます。

土が湿っているのにしおれるなら根腐れ

土がずっと湿っているのに葉がしおれるなら、根腐れか根詰まりが考えられます。鉢から株を抜き、根の色を確かめてみてください。白や薄茶色で張りのある根は健康です。黒く柔らかい根は腐っています。

傷んだ根を清潔なハサミで取り除き、新しい土で植え直しましょう。植え替え直後は水を控えめにし、明るい日陰で休ませます。詳しい手順は根腐れした観葉植物を復活させる手順は?見極め方と再生方法を解説にまとめています。

テラリウムで株元が黒くなるのは蒸れ

ふたつきの容器で株元が黒ずんだり、白い綿のようなカビが出たりするのは、湿気がこもりすぎたサインです。ふたを開けて換気し、傷んだ葉やカビをピンセットで取り除きましょう。ガラス越しの日差しで容器内が高温になると、蒸れはさらに進みます。カビへの対処は苔テラリウムが枯れる・カビる原因と対処法|症状別の見分け方の方法がそのまま使えます。

葉の裏の茶色い線は胞子なので心配いらない

葉を裏返すと、縁に沿って茶色い線が走っていることがあります。これは病気でも害虫でもなく、胞子を包んだ袋の集まりです。シダは花を咲かせず、この胞子で増えます。

プテリスの仲間は、葉の縁が裏側に折れ込み、胞子の袋を守るつくりをしています。葉の表は緑で元気なのに裏だけ茶色いなら、成熟した株の証と受け止めてください。

茶色くなった葉は根元から切って新芽を待つ

一度茶色くなった葉は、緑には戻りません。傷みが葉の半分を超えたら、葉の付け根から切り取りましょう。古い葉を残すと、株元の風通しが悪くなります。

すべての葉が茶色くなっても、あきらめるのはまだ早い段階です。土の中の根茎(こんけい)、つまり地下を這う茎が生きていれば、新しい葉が出てくることがあります。茶色い葉をすべて切り、明るい日陰で土を乾かしきらないように管理して、数週間ほど様子を見てください。


季節別の管理ポイント|春夏の生育期と冬の休眠期

プテリスは、春から秋にぐんぐん育ち、冬は成長がゆっくりになります。完全に眠るわけではないため、冬も水やりは続けます。季節の区切りは、地域や住まいの環境によって前後します。

季節 株の状態 水やり 管理のポイント
春(3〜5月ごろ) 新しい葉が出始める 表面が乾きかけたら 植え替えと株分けの適期。肥料を再開する
夏(6〜8月ごろ) よく育つが蒸れやすい 乾きが早いので毎日確認 直射日光と高温を避ける。テラリウムは換気を増やす
秋(9〜11月ごろ) 生育が続き、徐々にゆるやかに 表面が乾きかけたら 傷んだ葉を整理し、寒さに備える
冬(12〜2月ごろ) 成長がゆっくりになる 表面が乾いてから 肥料を止める。夜の冷え込みと暖房の乾燥に注意

春〜夏の生育期は水切れと蒸れに気をつける

春になると、株元から丸まった新しい葉が次々と伸びてきます。この時期は水を吸う量が増えるため、水切れを起こしやすい季節です。朝に土の乾き具合を確かめる習慣をつけましょう。

夏は日差しと暑さが手ごわくなります。窓辺に置いたテラリウムは、ガラスの中が温室のように熱くなります。夏のあいだは窓から離し、ふたを少し開けて熱を逃がしてください。会社のデスクに置いている場合は、空調が止まる週末や連休の室温にも気を配りましょう。

冬は乾燥と夜の冷え込みに気をつける

冬は成長がゆっくりになるため、水やりの間隔は夏より長めにします。ただし、プテリスは乾燥に弱いことに変わりはありません。土の表面が乾いたら、室温に近い水を与えましょう。

気をつけたいのは、夜の窓辺の冷え込みです。日中は暖かくても、夜の窓ぎわは外気に近い温度まで下がります。緑葉の品種でも5℃を下回らないよう、夕方以降は部屋の内側へ移すと安心です。暖房で空気が乾く部屋では、葉水や加湿器で湿度を補ってください。


まとめ|プテリスの育て方を押さえて涼やかな緑を長く楽しもう

最後に、プテリスの育て方のポイントを振り返っておきましょう。

  • プテリスは、テーブルファンの名でも流通する、細い葉が涼しげなシダ
  • はじめての1株には、緑葉のクレティカ系やアルボリネアタが向いている
  • 置き場所は直射日光の当たらない明るい日陰。エアコンの風は避ける
  • 水やりは土の表面が乾きかけたら。乾かしきらず、受け皿の水は捨てる
  • テラリウムには小さな苗を選び、換気と古い葉の間引きで蒸れを防ぐ
  • 葉先の茶色は乾燥、全体のしおれは水切れ、湿った土でのしおれは根腐れを疑う
  • 葉の裏の茶色い線は胞子の袋なので、取り除かなくてよい
  • 冬も水やりは続け、夜の窓辺の冷え込みから守る

茶色い葉は、株が環境の合わなさを知らせるサインです。原因を1つずつ取り除けば、プテリスは株元から新しい葉を出して応えてくれます。苔や流木と組み合わせれば、デスクの上に小さな森が生まれます。ぜひ、あなたもプテリスの涼やかな緑を暮らしに迎えてみませんか?

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この記事を書いた人

盆栽・庭木・観葉植物の育て方や選び方を発信する「sabi-green.」の編集チームです。専門書や生産者・園芸店の情報、専門サイトの情報などをもとに、初心者が疑問に思いやすいポイントを整理してお届けしています。

「盆栽は難しそう」「すぐ枯らしてしまう」という悩みを自分自身も経験してきたからこそ、専門書的な正しさよりも、初心者が実際につまずくポイントに寄り添った情報をお届けしたいと考えています。

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